工業所有権専門委員会/企画戦略WG


1.活動概要

  

  AI、IoT、ビッグデータの活用や、デジタルトランスフォーメーションといった技術環境の大きな変化に伴い、ビジネス機器および情報システム業界でも、新しい時代における知的財産の考え方や戦略の検討が必要となっています。

 

 本ワーキンググループでは、当業界を取り巻く技術環境の変化に対応するため、技術トレンドに則したテーマで会員企業における知財管理の課題やニーズを共有し、関連する法制度の調査、他業界における知財管理のベストプラクティスの研究を行い、JBMIAに参加する会員企業にとって知的財産の管理と活用はどうあるべきか検討を行っています。

 

 本ワーキンググループでの調査・研究結果は報告書として参加する企業に対しフィードバックがなされています。

 


2.参加企業

 

現在の参加企業は以下の通りです。(50音順)

 

カシオ計算機株式会社

キヤノン株式会社

京セラドキュメントソリューションズ株式会社

コニカミノルタ株式会社

セイコーエプソン株式会社

東芝テック株式会社

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社

ブラザー工業株式会社

株式会社リコー

 

(以上9社)

 


3.委員会の沿革

 

・1993年(平成5年)7月に日本事務機械工業会(JBMA) に知的財産権をめぐる諸問題を業界として横断的に検討するために知的財産委員会が発足し、 その翌年の1994年(平成6年)5月に下部組織として工業所有権小委員会の分科会として標準化特許分科会が発足しました。

 

 社会・産業の基盤としての側面を有する技術標準と権利者に排他的利用を認めることにより先行者利益を もたらす知的財産権との関係に対してどのように対処すべきか、各種標準化団体の方針及び標準にかかる特許の取扱いについての 実態調査・検討を行ってきました。

 

・2001年(平成13年)5月、JBMIAにおける委員会全体の組織刷新に伴い、標準化特許分科会から標準化特許ワーキンググループと名称を改めました。

 引き続き、技術標準化と標準必須特許の取扱いについての調査を行うとともに、JBMIAに参加する会員企業にとって技術標準化活動ならびに標準必須特許の取り扱いはどうあるべきか等に 軸足を置いて検討を行ってきました。

 

・2017年(平成30年)、企画戦略WGと名称を改め、知的財産の管理と活用に関する調査・検討を行っています。

 


4.主な活動内容(成果等)

 

・2013年度

「技術標準に係る特許の権利行使」 - 標準必須特許を用いて権利行使をする立場、権利行使を受ける立場それぞれの視点から、「標準必須特許」の取り扱い、差し止め請求/損害賠償請求上の制限について米国裁判例を分析し検討しました。

 

・2014年度

「必須特許とは何か、権利化する際の留意点、必須特許とすることのメリット/デメリットなどの検討」 - 米国において、特許権者が標準必須特許ではないと主張した特許が、裁判所で標準必須特許であると認定され、 低額な実施料が適用された裁判例があることから、標準必須特許のメリット/デメリット、 標準必須特許と認定される境界線を分析し、標準化関連発明を権利化する際の留意点を検討しました。

 

・2015年度

「標準化団体のパテントポリシーを踏まえた、標準規格関連特許の権利行使に関する検討」  - IEEEやITU等の主要な標準化団体でパテントポリシー改訂が行われ、標準必須特許の移転に伴う義務や、 原権利者が提出していた特許声明書(RAND宣言)の効力が明記されるようになったことから、 これらパテントポリシーと関連する米国裁判例を分析し、標準必須特許で権利行使を受けた際の防御方法を検討しました。

 

・2016年度

「標準必須特許のライセンス料算定に関する検討」  - 近年の主要裁判例でのライセンス料を算定する過程を分析することで、「標準必須特許はRAND条件でライセンスされる」という一般原則に留まらず、 標準必須特許のライセンス料は具体的にどのように算定されるか、ライセンス料の算定について特に重要視される要素は何か、を 検討しました。

 

・2017年度

IoTプラットフォームの利用およびIoT環境下で協業する際の検討事項

 

・2018年度

データの利活用に関する発明の保護手法

 

・2019年度

知財業務の中にAI技術をどのように取り込むことができるか、その現状と展望

 

・2020年度

IPランドスケープ、ポートフォリオ分析等の知財分析ツールの有用性、情報活用について

 

・2021年度

データドリブンの知財業務(データに基づいて判断し、アクションを起こす知財業務)の手法について事例を研究

 

・2022年度

SDGs事業と結び付けた知財活動

 

・2023年度

メタバースと知財